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高村薫 合田雄一郎シリーズ

 図書館で予約しておいた高村薫「照柿」と「レディ・ジョーカー」を借り出してきた。長編小説を読む時間を確保したいので、運動不足解消のための散歩の代わりに踏み台昇降をしながら本を読んだりしている。「照柿」の方は読了した。

「照柿」も「レディ・ジョーカー」も「マークスの山」に続く合田雄一郎シリーズだ。
 以前に「マークスの山」を読んだ時にも感じたのだが、これはミステリの範囲を超えた人間ドラマである。登場人物や場面の描写の事細かさ、個々の人間の内面的な心理の動きに至るまで、綿密に書き込まれたその筆力に圧倒されてしまった。もしかしたら小説という虚構の世界に現実味を持たせるために、言葉を尽くさないと作者自身が納得できないのかもしれない。
 
 「照柿」で、合田が事件を追っている最中に遭遇した事故現場で見かけて、強く心を惹かれた美保子という女性が、これまた18年ぶりに再会した幼馴染の野田の不倫相手であったという設定はいかにも便宜的な気がするが、「事実は小説よりも奇なり」とも言うから、ありえない偶然ではないとでも思っておこう。
 ただしそこから始まるドラマの進行にしたがって、そんなことは気にならなくなってしまった。
 合田はともすれば刑事としての正道を踏み外しそうになりながら、美保子を巡る野田との関わりの中で自分と向き合うほかなくなる。野田は野田で捨ててきたつもりだったもろもろの過去や両親特に父親との関係を確認し直すしかなくなる。自分に向き合うこと、真摯に生きようとすることはたいそう切なく、苦しい。
 主人公二人の内面の描写に比較して、美保子の描き方は内面にまで踏み込んでおらず、何か曖昧で取りとめがない感じがしたが、それはそもそもそういう生き方しかできない女という設定だったからだろうか。

 若いころは長編でも何でもどんどん読めたのに、いつのころからか長編が苦手になってきていたが、高村薫はおもしろい。途中で放り出すことなく読むことができた。
 図書館の貸し出しは2週間である。後十日足らずで「レディ・ジョーカー」を読まねばならない。多分読み切ることができるだろう。読んでしまったら、DVDを借りてきて観ることにしよう。確か映画化されたことがあったはずだ。

 
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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
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