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「コリーニ事件」

フェルディナンド・フォン・シーラッハ「コリーニ事件」(東京創元社)を読む。
第二次大戦中のドイツでナチ党の上層部に属した人間でも、戦後になって命令に従っただけとして許された人が多くいたらしい。戦後のどさくさのなかで、戦争協力者として本来なら罪に問われそうなことをした人間を、時効期間を短くして無罪にしてしまう法律が、多くの人が気づかないうちにひっそりと成立していたというのだ。
そうした事実を下敷きにして、この本は書かれている。一読して、個人的には映画「セント・アンナの奇跡」を思い浮かべた。もちろん内容は違うが、どちらも戦争中に起きた事件の復讐譚である。
余分なエピソードは極力省いて簡潔な文章で書かれた法廷ドラマだ。外国の小説は言葉数が多いせいで分厚い本が多い。読み応えがあるとも言えるが、必要な言葉だけで書かれた文章は読みやすいように感じている。

作者の祖父はナチの中心部に近いところにいた人物だったという。終戦後戦犯として裁かれ、刑期を終えて出所した後は穏やかな老後だったらしい。
子供のころ、学校の同級生にはナチの大物や、逆に反ナチでヒトラーの暗殺計画に参加した人物を祖父にもつ子供もいたという。祖父の時代に反目しあう立場であっても、孫たちには無関係だったようだが、それにしてもそういう同級生がいたことで、自分たちの国の歴史について無関心ではいられなかったのかもしれない。
作者は刑事事件専門の弁護士であり、法律上の問題には詳しいはずだ。それ故、法制度の問題点を抉り出すようなドラマを書いたのではないか。

この本がきっかけになって、ナチ犯罪の共犯者に対する時効の問題が、再検討されることになったと、あとがきに書かれていた。

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