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見てくれのこと

久しぶりに会った友人が、脚にいっぱいできた黒いシミをレーザーで焼いてもらうのだと言った。
エステや美容整形などではない一般の皮膚科でも、最近は美肌目的の保険外治療をしているところが多いのだそうで、それが結構流行っているそうだ。そんなことちっとも知らなかった。

七十近くになってもまだ、脚にできたシミまで気になるものなのかと聞いたら、スカートがはけないからという答えが返ってきた。
私なんか白髪染めもする気ないし、化粧水やクリームもいちいち検討なんかしないで手近な安物を買ってくる、夏なんか汗で流れてしまうから塗らないことも多い。年だからもうどうでもいいの、他の人と若さや美貌を競り合う気もないし。
そう言ったら、「若い頃はしっかりお化粧していたじゃない」と言われた。そう言われればそうだ、二十代から三十代のころ、結婚する前まではこの私でもしっかりメイクをしていたのである。

十代の私は自分のことを不細工だと思いこんでいて、かなり劣等感をもっていた。周囲には可愛い人やきれいな人がいっぱいいたような気がする。
二十歳を出たころ、駅前のデパートに入ってたまたま化粧品売場を通りがかった時、美容部員のお姉さんが呼び止めて薄化粧をしてくれた。帰宅した私を一目見て、母が「可愛い」と言った。娘の容貌の欠点ばかりあげつらっている人にそう言われて、私は少し面食らった。母は「少しはお化粧するといいかもしれない」と言った。メイク次第でそれなりにきれいになれるかもしれない。化粧をはじめたきっかけはその出来事だったような気がする。
若かったから肌にも張りがあったし、皺も目の下の隈もほうれい線もないのだから、十人並みの容貌でもうまく化粧すれば見られる顔になる。自己満足だったに違いないが、自分だってそう悪くないのではないかと思うことができた。

化粧を止めたのは三十代半ば、遅がけに結婚して専業主婦になり、家の中にいるようになってからだ。気の張る外出の時以外はしなくなった。家の中にいて見てくれに構う必要がなくなると、気も張らずに自然体でいられ、心地良くなったように感じた。以来ずっと気楽に暮らしている。
若い時にはきれいだった、その記憶だけで十分だ。負け惜しみではなく今はそう思っている。

友人が今外見にこだわっているのは、私には分からない本人独自の理由があるのだろう。それにしても年金生活なのに大丈夫かしらと、ひと事ながら思う。



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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
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