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「わたしの名は紅」を読んだ

何日もかけてやっと、オルハン・パムク「わたしの名は紅(あか)」を読了した。
たった九日間だけの話でありながら、殺人事件の犯人捜しというミステリ-、登場人物間の恋愛、古い時代のトルコの風俗・風習、細密画という独特の芸術とそれを描く画家の美意識と西洋絵画との出会いによる苦悩、戦乱と人の生死、宗教上の騒乱、様々な要素が集まり重なり合って、異国情緒豊かで壮大な物語になっている。
本文の各章は、登場人物それぞれ、時には絵の中の馬や紅と言った色までが主体になって語られる。主体が変化することで視点が変わり、物語に厚みが増している。一口で言ってしまえば、ただただ面白かった。
なぜだか子供の頃に読んだ「アラビアン・ナイト」を連想してしまった。アラビアとトルコでは地域が違うが、日常からかけ離れた古い時代の異国が舞台であるせいと、毎晩眠りにつく前に、布団の中で少しずつ読み進めたせいもあるかもしれない。

訳者の和久井路子さんという方にも、採算を度外視して出版した会社にも敬意を表したいと思った。いくらいい本でも翻訳して紹介して貰わなかったら、私たちは読むことができない。
この本は日本語訳より前に優れた英訳本が出ており、それを参考にした、と後書きで書かれている。それにしてもこれだけの長編を原語のトルコ語から訳されたそうだ。
原作者の意向として注釈を排するようにと注文されたという。そのために本来なら注釈に当たるところを本文に紛れ込ませざるを得なかったに違いない。そのせいか少しだけ日本語としてこなれていないような気がした。もちろんそんなことは些細なことだ。


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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
夫と猫2匹と暮らしています。リンクはフリーということでお願いします。

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