FC2ブログ

Entries

アンネ・ホルト「ホテル1222」

ノルウェーのミステリー作家、アンネ・ホルトの「ホテル1222」を読んだ。
女性警部ハンネ・ヴィルヘルムセンが登場する作品は、以前も読んだことがあったはずだ。題名が思い出せなかったので、ネットで検索してみた。Amazonの本の商品の説明に内容がおおまかに書かれているから、それを頼りに探したところ、「土曜日の殺人者」だったようだ。

女性警部ハンネは「土曜日の殺人者」では、男勝りで愛車ハーレーダビッドソンを駆って事件解決に奔走する、颯爽とした女性警察官だった。「ホテル1222」では、悪徳警察官の上司を追い詰めて狙撃され、半身不随になって車椅子生活を送るようになった後のハンネが登場する。当然警察を辞職しており、元警部という立場である。そうしたいきさつはシリーズの別の本に書かれているらしいが、まだ読んでいない。

そのハンネがたまたま乗り合わせた列車が、猛吹雪の中で脱線事故を起こし、乗客一同が近くのホテルに避難する。乗客の中から殺人事件の被害者が出ても、警察がすぐには乗り込むことができない状況の中、次第に事件に巻き込まれていく。この本の中のハンネには、健常者として活躍していた頃の面影はない。他人との間に壁を作り、人に助けられるのを潔しとしないような依怙地で偏屈な女性になっている。

ミステリとしてはそれほど優れているように思えなかった。文庫本の裏表紙に「ノルウェーミステリの女王の最高傑作!」などと印刷されているが、これは商売上誇張された賛辞だと思う。
何者かを護送するために、最後尾に特別車両が連結されていたという設定だが、これは読者に対する目くらましなのだろうか。本筋の事件には何も関係がなく、とってつけたようで煩雑に感じられる。クルド人らしい乗客が、本の最後で実は特殊な立場の人間だったように仄めかされているが、明確に書かれていないため、読者、少なくとも私には意味が分からず、読み終えても消化不良のままなのだ。

むしろ半身不随になった主人公や、小人症に生まれついた医師というような障害者の心理の描き方、閉じ込められた空間の中での人間同士の軋轢など、人間ドラマとして読む方がいいと思う。

P・ルメートルの「天国でまた会おう」も犯罪を描きながら、人間ドラマだった。
純粋なミステリーはそれはそれで面白いが、人間ドラマとしても読むことができる作品にも味がある。



関連記事
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://ohutarisama331.blog120.fc2.com/tb.php/452-31d1a576

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

ohutarisama

Author:ohutarisama
中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
夫と猫2匹と暮らしています。リンクはフリーということでお願いします。

月別アーカイブ

 

検索フォーム

QRコード

QR