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セルフポートレート  10/26

還暦を過ぎた頃、これから先何年生きられるかは「神のみぞ知る」にしても、自分が亡くなって弔いをすることになった時に、写真がないと遺された者が遺影に困るのではないかとふと思った。別に大病をして余命宣告されていたわけでもなく、気が弱っていたわけでもない。むしろ大病をして面やつれしてからでは遅い、元気な時の写真のほうがいいと思ったのである。
以前見た中国映画、「胡同の理髪師」の中で、高齢の理容師が知り合いの葬式に出たところ、故人の写真がおそろしく若い時のものだったのを見て、自分の葬式用にと写真を撮ってもらう場面があったのを、思い出す。

根がけち臭いので、写真館でポートレートを撮影してもらおうなどという考えは少しも頭に浮かばなかった。
代わりに中古のデジタルカメラを買って、セルフポートレートを撮影しよう、その際はいい写真が撮れるまで頑張ろう。一年に一度、例えば誕生日とか日を決めて毎年撮影して記録メディアに残しておけば、いよいよとなった時遺された者も遺影写真に困ることはないに違いないと、そんな思いつきから、カメラを手にいれた。六年くらい前だったろうか。

実際に写真を撮影するとなると、いろいろ問題があった。
まず、いくら年寄りでも写真映えを考えたら少しは化粧をしなければ、ということになる。若い時こそフルメイクしていたが、結婚後一週間で面倒くさくなって、普段は口紅もつけなくなった。ずっと化粧を続けていれば、年と共に少しずつ化粧方法を変えて、若作りがかえって醜悪ということのないよう、年齢なりのきれいさを保っていられただろうと思う。長い間化粧から遠ざかっていると、もう何をどうしたものやら、眉の描き方も下手くそになるし、口紅の色にも迷うし、下手をすると化粧したことでかえって化け物になってしまう。
その一方で、頭の中ではいつまでも若い時の自分のままなのに、鏡の中の自分はどう化粧してもどこかのお婆さんにしか見えないという現実。

そんなこんなで躓いて、折角カメラを用意しても、毎年自分のポートレートを撮るようなことはできなかった。

一度だけ65歳になった時、頑張って撮った。行政から敬老手帳と一緒に高齢者優待券が送られてきて、写真を貼付するように指示されていたからだ。写真館へ行くまでもないと思い、自宅の無地の壁を背景にセルフタイマーを使って撮影し、コンビニでプリントしてきた。最近のコンビニでは証明写真用の大きさにプリントできるから便利だ。

そのプリントを優待券に貼って手帳の裏表紙の透明ビニールのポケットに挟んでおいたら、写真の表面が張り付いて剥がれてしまった。
記録メディアからはもう削除してあるし、もう一度撮影し直すにも、カメラのバッテリーが駄目になってしまっている。

仕方なく、今日街へ出て証明写真ボックスで撮ってきた。出てきた写真を一瞥して、いやあ、やっぱり老けたわ、私、どう見ても高齢者だわと、すぐバッグへ押し込んだ。高齢者優待券に貼るのだから、老けていた方がいいかもしれないと、これは負け惜しみ。



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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
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