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おから煮

昔、祖母が作る「おから煮」は、たまに魚(主に鯖だった)を煮た後、残った煮汁に野菜や油揚げを細かく切って入れて煮立て、そこにおからを放り込んでかき混ぜるだけだった。ほどほどに火が通ったらそれで出来上がり、出来上がりはしっとりしていた。半世紀以上も前の田舎では新鮮な魚が手に入るわけもなく、煮汁そのものに生臭みが残っていたから、おいしいと思ったことはなかった。

大人になって、家事手伝いという気楽な身分だった頃、当時高名だった映画評論家の料理エッセイを読んで、作ってみたことがある。荻昌弘さんの「男のだいどこ」という本だ。荻さんはもうずっと前に物故されているが、グルメで美味しいものには目がなかったようで、そのエッセイはユーモラスで楽しかった。文庫本だったからか料理写真が一枚もなかったのに、食べ物のおいしさが伝わってきた。

その本に、京都の料理屋さんで教わった卯の花(おから)の煎り煮に言及したくだりがある。それによるとコツはただひとつ、ひたすらに煎りつけることだそうだ。出し汁に具材を入れて煮立て、濃い目に味付けしてそこへおからをドサリドサリと入れる。後は強火のまま焦げないように、ひたすらしゃもじでかき混ぜるのだと。30分もかかる力仕事なのだと。
それが正しいおから煮なのかと自分でもやってみたが、ひどくぱさついた仕上がりで家族には不評だった。
思うに、料理屋さんで作るのは、業務用だから大量だったに違いない。ガス火を最大限に強くしても、量が多ければそれほどの火力とはならないのだろう。家庭用に少量作る時にそれを鵜呑みにして強火で長時間炒りつければ、焦げつくし、ぱさつくに決まっている。そんなことで、おから煮の作り方に今ひとつ自信がないまま、年を重ねてきた。

かなり前のこと、NHKの「ためしてガッテン」でおからを取りあげたことがあった。その中で、昔手絞りして豆腐を作っていたころのおからと比べると、現在は機械絞りになっているため、豆乳が可能な限り搾り取られ、おからには豆のうまさが残っていないと言っていた。それでもおからに残っている栄養成分に注目すれば、食物としては優れており利用しない手はないのだと。
まずくなったおからをおいしく食べるには、よくよくから煎りして水分をとばした上で、出し汁の旨味を吸い込ませるといいという。これには、なるほどと納得した。いいことを教わった。

それ以来、おから煮を作る時は、まずから煎りをすることにしている。30分もかけなくてもいいし、強火でなくてもいい。別鍋で汁沢山に具材を味付けして煮ておき、そこへ水分をとばしたおからを入れてかき混ぜる。おからが吸い取ってしまうので、煮汁はかなり沢山あった方がいい。しっとり加減は水分を足すなり煮とばすなり、好みでいいと思う。

夫がおからを買ってきたので、今夜はおから煮を作る。


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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
夫と猫2匹と暮らしています。リンクはフリーということでお願いします。

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