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モーニングサービス  10/6

若い頃、夫が定年退職したら、喫茶店に出かけてモーニングサービス付きのコーヒーを飲もうと思っていた。
一般家庭の朝はバタバタと気ぜわしい。夫は夜勤専門要員だったので、仕事から帰ってきたら食事と風呂を済ませてさっさと寝るしかなく、とても喫茶店へ出かける暇はなかった。老後の楽しみを、私はゆっくりした朝のひとときに求めていたのである。
現実には大した年金額ではないので、そんな余裕はない。たまにファミリーレストランのモーニングに行ったことがある程度だ。

私たちの親の世代の人は、もう少し余裕があったような気がする。
田舎では二世帯同居の家が多かった。国民年金しか受け取っていなくても、生活費は稼ぎのいい息子世帯に任せ、孫には甘い顔をしていくらか渡し、残りは自分の小遣いという老人が多かった。共済年金や厚生年金を受けているひとは、それ以上に豊かだったから、生活費にいくらかは出していたにせよ、自由に使う事ができる分はもっと多かったはずだ。

住んでいた場所にもよるが、伯母の住んでいた田舎町は少し開けた所だった。喫茶店も何軒かあり、伯母は近所の友達と連れ立って毎朝モーニングサービスの時間に喫茶店へ行っていたらしい。そのくらいしか使い道を思いつかなかったのかもしれない。毎朝出かけても一万円程度のことである。

この地方の喫茶店のモーニングサービスといったら、大したものだった。コーヒー一杯を注文するだけで、トーストにゆで卵、小さな器にサラダ、競合店の多い地区だとその上さらに小さなケーキその他、色々出してくれて、なにしろお値打ちだった。
勤労者も朝食を食べる感覚で仕事前に立ち寄る上に、大勢の老人が集まるので混んでいた。店の儲けは少なかったに違いない。

結婚する前で、まだ実家にいた頃のことだ。
電車に乗って歯科医院に出かけ、治療が終わって帰り道、駅のそばの喫茶店に入った。帰りの電車の到着までに時間があったのである。
メニューを開いたら、モーニングサービスの写真の下のキャッチフレーズに、
「お勤めの方の朝のひとときに・・・お年寄りの集いに・・・お百姓さんの野良仕事の前に・・・」
と書かれていた。その近辺ではお百姓さんの朝も優雅だったようだ。


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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
夫と猫2匹と暮らしています。リンクはフリーということでお願いします。

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