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サトウキビ  10/3

畑で穫れたサトウキビから黒糖を作っていたのは、私が小学生のころまでだったように思う。
自家製の黒糖はくせがあって、煮炊き物の味付けに使うと、わずかに雑味が残るような気がしていた。素人が煮詰めるので、気づかずに焦がしてしまっていたのかもしれない。子供のころの私は、くせのない白砂糖のほうが嬉しかった。

世の中全体が少しずつ豊かになって、白砂糖が慶弔事の引き出物によく使われるような、ありふれた物になってきた。あちこちからの頂き物で砂糖が充分足りるようになって、自家用の黒糖をわざわざ作るようなことはなくなった。
そのうち、いつのまにかサトウキビを畑に植え付けることもなくなった。

後年、私が結婚して家を出てからのことだ。田舎の組の旅行で沖縄へ行った父が、サトウキビを土産に買ってきたことがあった。サトウキビは芽のついた節ごとに切って埋めておくと、根が出て新しい芽がふいて伸びていく。
翌年、父は昔を懐かしんで、買ってきたサトウキビを畑に植えた。ところが、買ってきたものはそんなことはなかったのに、寸詰まりの丈の低いサトウキビしかできなかった。南の方の気温の高いところではよく伸びても、中部地方の山の中では育たなかったようだ。あるいは品種が違っていたのだろうか。節と節の間の寸法が短すぎて、子供の頃のように皮を剥いてしがむにも具合が悪かった。

昔のサトウキビは、作らなくなってから長い年月が過ぎてしまったので、全く残っておらず、父は寂しそうな顔をしていた。


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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
夫と猫2匹と暮らしています。リンクはフリーということでお願いします。

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