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「その女アレックス」を読んだ  9/15

ピエール・ルメートルの「その女アレックス」を読了。
何年か前にあちこちのミステリーランキングでトップの評価を取った作品。ベストセラーになったようだが、そもそもベストセラーをあまり読まないので、今頃になって読んだ。私ごときが激賞したからといってどうということはないとは思うが、極上のミステリーだ。ぐんぐん引き込まれた。

胎内にいたときの母親のニコチン中毒の影響で、成人になっても異様に背丈の低い警部カミーユ・ヴェルーヴェン、その上役で巨漢のル・グエン、カミーユの部下で富豪のルイ、正反対に貧乏性のアルマン。事件を追う警察関係者の面々は体型も性格も誇張されたように個性的である。そして彼らが追いかける事件がひととおりではない。

たまたま目撃した市民が通報してきたというだけで、なかなか全貌が解明できない誘拐事件の被害者がアレックスという女性だ。彼女は実はおぞましい連続殺人事件の加害者でもある。誘拐され閉じ込められた空間から決死の覚悟で逃亡すると、カツラやカラーコンタクトで姿を変え、名前も変え、容赦のないやり口で殺人を重ねてゆく。
ヴェルーヴェン警部を筆頭とする捜査陣は彼女になかなかたどり着けず、常に後手に回るのだ。結局、アレックスの自死によって連続殺人は終焉を迎えるのだが、調べてみると意外な事実が明らかになってくる。

アレックスの短い一生は、怒りと悲しみに満ちた悲惨なものだった。誰も彼女を救ってくれる人はいなかった。彼女は復讐するために必死で生きのびた。その復讐に驚くことになるが、実は本当に驚かされるのは最終的に思わぬ形で彼女の無念がはらされることになるところで、大団円での意外性がこの作品の本当にすごいところなのだ。

事件と並行してヴェルーヴェン警部の個人的な事情も明かされていく。すでに亡くなっている母親は高名な画家だった。彼はその遺作を全てオークションにかけ、売り上げをどこかに寄付するつもりでいたのだが、度を超した倹約家のはずのアルマンが内緒で母親の自画像を落札してプレゼントしてくれる。そういう意外性のあるエピソードもなかなかいい。

ルメートルのヴェルーヴェン警部のシリーズはまだ他にもあるようだ。そのうちの何冊かはおもしろいそうなので、読みたいと思っている。


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