FC2ブログ

Entries

編み機の思い出

 二十年近く前、従姉に古い編み機を譲ってもらった。 
 私はそのころ棒針での編み込みに悪戦苦闘していた。裏に渡る糸の引き加減が分からずに編地がつれたようになってしまうし、編み目も揃わない。手編みでもきれいに編めるまでに上達するに越したことはないけれど、機械で編む方が手っ取り早いのではないかと考えていたところだった。
 何かの機会に従姉と会うことがあった時、四方山話の中で中古でいいから編み機を探していることを話した。
 もう十年以上も経っているものだけれどと、従姉が答え、即座に譲ってもらうことに話がまとまったのだった。
 昔はミシンや編み機を月掛けで買う人が多くいた。彼女もやはり月掛けをしていて満期で編み機を受け取ったそうだ。そのころは販売会社から機械の操作と簡単なセーターの編み方程度のことを教えに来てくれるサービスがあったそうだが、丁度その頃手のかかる幼児がいたので、出張教授のサービスを受ける時間もなく、編み方も分からないまま年月が過ぎ、押入れにしまいこんでいたらしい。
 
 それは未使用ではあったけれど言葉通りに古い編み機で、パンチカード式のごく初期の、一模様が12目、選針レバーを引いて模様編みの針を一旦前へ移動させてからキャリッジを動かすという、旧式の型だった。十年以上も動かしてなかったせいで内部でグリースが固まってしまっていたのか、まずキャリッジがスムーズに動かなかった。選針レバーを引いても動かない針もあった。ジャンク品というものかもしれなかった。
 キャリッジの方は新品を扱うような気兼ねは要らないから、ガシガシと叩くように動かしていたら、そのうち動くようになった。選針レバーで動かない針は仕方がないから指で前へ出せばいいと割り切って、面白がって遊びのような感じで毎日試し編みをした。
 旧式の編み機で良かったことがある。機械の構造が今のものほど複雑ではないせいか、操作で戸惑うことが少なかった。それにもともとの目的であった編みこみも、手操作で針を選んで列を組めば、パンチカードの12目という数にこだわらずに模様ができた。ただし根気は必要だった。
 試し編みを除いて最初に編んだのは編み込みのベストだった。編み機で編むと表を見ないで編むことになるので不安だったが、目を落とした時などに一旦棒針に全目を移して表の模様を確かめたりしつつ、何とか完成することができた。実際には手で編むのと変わりないほど手間がかかったけれど、面白い経験だったと今では思う。
 
 編み機の方はさすがに処分したけれど、ベストは今でも持っている。洗濯を繰り返してフェルト化したら、洋裁でポケットか何かに使えないだろうかと思っている。
関連記事
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://ohutarisama331.blog120.fc2.com/tb.php/30-be86cf96

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

ohutarisama

Author:ohutarisama
中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
夫と猫2匹と暮らしています。リンクはフリーということでお願いします。

月別アーカイブ

 

検索フォーム

QRコード

QR