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スペイン映画「マーシュランド」 3/30

久しぶりに映画らしい映画を見た気分(DVDでだけれど)。スペイン映画「マーシュランド」だ。
スペイン映画では個人的には「オール・アバウト・マイ・マザー」や「ボルベール(帰郷)」が好きだが、それと質は異なるけれども秀作だと思う。

フランコ政権の終焉から間もない年代のアンダルシア地方で、残酷な少女の連続殺人事件が起こる。マドリードから何かの訳ありでこの地方の警察に赴任してきた若い刑事ペドロは、ベテラン刑事ファンと組んで事件の解決にあたる。
ペドロと組んだファンも訳ありだ。どうやらフランコ政権下の秘密警察の一員で、随分惨いことをしてきた過去があるらしい。二人が聞き込みに当たる相手がファンを見る目が独特だ。彼らの口が重いのは、暗黒時代に沈黙を守ってきた過去のせいかもしれず、貧しい生活に希望が持てず気持ちが暗いせいかもしれず、あるいはそれぞれに隠し事があるせいかもしれない。

ファンは、捜査の折々に暴力性が顔を出す一方で、夢にうなされて目を覚ますような不安な感情も抱えている。過去に自分のしてきたことに対する悔悟の情かもしれない。
ペドロの方は関係者の口の重さに閉口したのか、警察内部での疎外感のせいか、内密にジャーナリストに捜査協力を求め、ジャーナリストは見返りを求めつつ情報を提供する。ファンが秘密警察時代に少女を狙撃したことがあったのをペドロに教えたのも彼だ。
事件の被害者の二人姉妹の母親は、過去にファンと顔見知りであったかのように思わせる仕種で、夫に内緒で事件の情報を提供している。もしかしたら秘密警察時代に情報提供者だったのかもと想像してしまうような印象だ。

捜査が次第に進んでいき、犯人を追い詰めたところで、ペドロが危うく犯人に殺されかけるところを、ファンが助けるのだが、彼は過去を引きずったままでいるかのように、犯人の腹を何度もナイフで突き刺して殺してしまう。
事件は、狩猟宿を舞台に、少女達を児童買春する資本家の老人に提供していた男たちの仕業だったという解決で終わるが、裏にもっと何かがあるのではないかと思わせるようなすっきりしない最後なのだ。

ジャーナリストはペドロにベテラン刑事の秘密警察時代の殺人の証拠写真を与える。中央に繋がっている彼に何かを託すつもりだったからかもしれない。ファンに命を助けられた若い刑事はそれを破り捨ててしまう。それは、命を助けてもらったことに対する感謝だけではなく、暗黒時代を早く忘れたいという願望だったのかもしれない。
色々想像をたくましくしてしまう、そういう意味で後を曳く映画だった。
 
映画は小説と違って、一連のいきさつや人の繋がりが言葉で説明されないので、解説がない限り見る側が推測や推量で補うしかない。そのために見るによって様々な見方ができる。
そこが面白いところでもある。


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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
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