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機械編みの思い出 2/2

子供の頃の一時期、母が羊を一頭飼っていた。伸びた毛を刈り取って、毛糸と交換してもらっていたようだ。その毛糸を持って、機械編みができる知り合いの奥さんに子供たちのセーターを編んでもらうように頼みに行っていた。

羊一頭分の羊毛などは大した分量ではなかっただろうから、より多くの糸と交換してもらおうとすれば、渡されるのは売れ残りの半端物の糸ということになったのだろう。同じ色で一枚を編むことができなかったので、必然的に模様が入っていた。
弟のセーターがどうだったのかなどということは全く記憶にないが、私のセーターは確か、水色の地色にピンクとほかの何色かが、積み上げた煉瓦の目地のような模様に編み込まれていて、襟ぐりと袖口と裾は紺色のゴム編みだったと記憶している。
そのセーターを私はとても気にいっており、よそ行きとして大事に着ていた。眺めるたびに、機械編みで編むとこんなにきれいな編み目になるのだと感心していた。編んでくださった奥さんは、丁寧な仕事をする人だったに違いない。パンチカード式の編み機もない時代に、よくまあ根をつめて模様編みをして下さったと、大人になった今では思う。

中学生になるともう多色のきれいな模様のセーターは着られなくなり、今度は黒い毛糸で学校へも着て行けそうなカーディガンを編んでもらうことになった。前に頼んだ奥さんではなく、親戚筋にも当たる近所のお姉さんが機械編みを習い始めて、練習で編む物を探しているそうだからと、そこへ頼むことになった。
私の頭の中では機械編みはとてもきれいに編めるものだという思いこみがあったから、できあがってくるのが楽しみだった。
ところが、である。完成して届けられた物は、何というか、糸がつれているところとゆるんでいるところが不規則な縞模様のようになっていて、どうしたらこんなふうになるのか不思議に思われる仕上がり具合だった。手編みとは違う不揃いさが目立っており、私は心底がっかりした。編み手がよく知っている人だったから、何も言えなかったのだが。そのカーディガンはあまり着ないまま、どうにかなってしまった。

今なら原因の見当がつく。機械編みの、しかもただのメリヤス編みだったにもかかわらず編み目がまったく揃っていなかったのは、多分、毛糸だまを作るときに玉巻き器を使わずに手で巻いていたからではないかと思うのだ。手で巻いてもいいけれど、その場合は先に箱の中などに毛糸をほぐしてためておいて、スムーズに繰り出されるようにしておかないといけない。そういうことを習った先の先生が教えなかったのか、教わる側がせっかちな性分で面倒くさがったのか。

カーディガンを編んでくれたお姉さんは、結婚してから、自分で縫製の内職を始めると、あちこちに内職をする人を見つけて元締めのようなこともしていたようだ。既製品の縫製のように手早く数をこなす仕事は向いていたに違いない。


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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
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