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1月4日 カーリン・アルヴテーゲン「喪失」

昨夜遅く、日にちが変わる頃、本当に久し振りにバイクの爆音を聞いた。そういえば最近はガソリンが安くなっているとか。それにしても、何もこんな冬の時期に走らなくても。正月暴走のつもりだったのかしらん。
何年も前は、夏場の夜中に暴走族が集団で走るバイクの騒音がとてもうるさい時があった。多分通りに面した家の人が110番通報していたのだと思うが、じきにパトカーのサイレンが聞こえてきて追っかけっこが始まるのだった。ところがいつの間にかそういうことがなくなって静かになっていた。誰かがガソリンが高くなったからだと言っていて、なるほどと思ったものだった。

スウェーデンのミステリー作家、カーリン・アルヴテーゲンの「喪失」を読んでいるところ。
主人公は裕福な生まれでありながら、親と折り合いが悪くて、家出してホームレス同様の暮らしをしている若い女性シビラ。いくら折り合いが悪くても自分の娘の行方ぐらいは探しそうに思えるのに親の方も素知らぬ顔をしていたのか。親子の関係がとても冷淡に描かれている。シビラ自身、若過ぎる年齢で未婚のまま子供を産んでいるが、赤ん坊は周囲の大人たちの思惑で養子に出されてしまい、消息も分からないままだ。ミステリーの内容よりも、寄る辺ない孤独の中ですっくと生きている女性のたたずまいに興味をひかれた。
訳者後書きの中に、(この小説のアイディアは、朝のラッシュアワーの人込みの中で、人々のさげすみの目や無視にもかかわらず、毅然として手をだしたままそこに立ち続けていた作者と同年代の女性ホームレスを見た時に生まれたそうだ)と書かれている。
「その女性がそれでも人生をギヴアップせずに、闘い続けていると感じ、その姿に深く心を打たれた。」
というのだ。主人公シビラからはその通りの印象を受ける。
彼女は殺人事件の犯人の容疑が晴れ、まっとうな人生に戻った後、人を使って自分の生んだ子供の消息を調べる。けれども
「どんな権利があって、十四年も経ってから彼の生活に踏み込もうというのか?」
と考え込む。
「彼に負い目を感じるのなら、彼女はそれを引き受けて生きていくよりほかはない」と思い定めて、名前の書かれた封筒を捨ててしまうのだ。
情にからめ取られるところがなく、いっそ潔いとさえ思われる。北欧の人々はそこまではっきり個人が確立されているのだろうか。

どうでもいいことだけど、ストックホルムの高級住宅地に住むセレブで、母方の祖母に当たる人の性格を、「ほのめかしやあてこすりで自分の言いたいことをまわりの人々にわからせる、じつに特殊な才能の持ち主だった。」と書いてあったのには、笑った。あ、いるいる、そういう人。セレブじゃなくてもね。

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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
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