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ものの扱い

 ものを買ったばかりの時はわけもなく大切に扱っているのに、そのうち手に馴染んで使いこなすようになると次第にぞんざいに扱うようになる。小傷もつくし角が擦れたりもする。
 大切にし過ぎるあまり使うのがためらわれるようでは、本末転倒ということに違いなく、特に乱暴に扱わないかぎりはそれでもいいのだろう。

 学生時代のクラスメートでものの取り扱いが丁寧な人がいた。
 当時、教科ごとの本やノートを格好良くブックバンドでまとめて持ち歩く人もいるにはいたが、鞄に入れているまじめな人も結構多かった。誰かが白っぽい人造皮革の肩掛け鞄を使い出したらちょとしたブームのようになって、私も買って使っていた。人造皮革といっても当時のものは布地に薄いビニールをコーティングしただけの、安っぽいものだった。3ヶ月も使っていると角が擦れてコーティングがはがれ、惨めな状態になる。それでも毎日使っているのだからそうなるのは当たり前のことと思い、気にもしないでいた。

 ところがほぼ同じ期間、同じような使い方をしているはずなのに、角も肩掛けひもも擦り切れていない人がいた。気をつけて見ていると万事につけ丁寧なのだ。例えばコートを脱いで持つ時、脱いだコートの袖を内側に揃えてきちんとたたみ、ほとんど正確に肘を90度に曲げたところに二つ折りにしてそっと乗せるという感じだった。優雅とか優美とかいうのとは少し違っていて、生硬ではあるが上品とでもいうような印象だった。多分そういう育ち方をしてきた人なのだろうと思う。引き比べると、自分がなんとも粗雑で落ち着きがないよう人間に思われて、内心恥ずかしかった。

 映画「マザーウォーター」で女性の豆腐屋さんが豆腐を置くときに、台の近くに来るとすっと動きを緩めて静かに置いたのを見て、自分の商品を大事にしているのだと感心したことがある。別の映画だったかもしれないが、コップをテーブルの上に置くときもそうだった。あれは監督さんの指示だったのか、演じた女優さんの持ち前の身のこなしだったのか。なかなか興味深い。

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中部圏に住む1948年生まれの専業主婦です。
夫と猫2匹と暮らしています。リンクはフリーということでお願いします。

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